本書は、全二十四巻におよぶ大著を一冊に凝縮した作品です。第二次世界大戦の最中、首相として渦中にあった著者の視点から、枢軸国、アメリカ、そしてイギリスの状況が描かれています。また、日本という国が当時どのように映っていたのかを読み解くこともでき、歴史の一側面を知るうえで貴重な手がかりとなります。
・第二次世界大戦の火種は、すでに第一次世界大戦の終結後から芽生えていたとチャーチルは述べる。その原因は、戦勝国であるイギリス、フランス、アメリカ、そしてロシアなどの「勝者の愚行」にあった。ヴェルサイユ条約により、ドイツには国家予算の数十年分に相当する莫大な賠償金が課せられた。当然、支払いは困難であり、ドイツはアメリカからの経済支援に頼らざるを得なくなる。一方でアメリカは、その賠償金の回収に注力。さらに、平和条約に定められた非武装条項は厳格には守られず、ドイツは戦争による打撃から急速に立ち直っていった。このような状況が、ナチスの台頭を許す土壌となっていった。
・第二次世界大戦に向かう中で、イギリス、イタリアの古い友情の上に暗い雲が現れてくる。一方、ルーズベルトとチャーチルの関係は深まっていく。双方の通信は約一千通に達し、5年余り後のルーズベルトの死まで続いた。
・新政府に対する信任投票を求めた際の演説、「私が諸君に提供できるものは、血と労役と涙と汗以外には何もありません。」
・チャーチルから見た当初の日本の印象は、伝説に富んだ長い歴史を持つ東洋の島国。真珠湾攻撃をした時は、アメリカは2倍、3倍もの力を持っていると表現。しかし、イギリスは「プリンス・オブ・ウェールズ」「レパルス」といった二大巨艦が日本に沈められるなど、苦戦を強いられた。当時の印象として「日本の海軍航空戦の威力は恐るべきものだった」と述べている。
・しかし、日本は手を広げすぎたため、今度はそれを押さえておくために力を分けて使わなければならなくなったことを敗因の一つの要素として挙げている。また、日本の欠点として日本語が不正確であることも挙げている。日本語はすぐに信号通信に変えることが難しく、日本軍の秘密もアメリカにもれていた。そのような状況にもかかわらず、勝ち誇った日本の指導者たちは、天が日本にこの幸運をもたらしたものと思っていた。このような考えは、人間が輝かしい成功をおさめて得意になっている時に陥りやすいことであるという。
・日本が敗北に向かう中、チャーチルは「無条件降伏」の条件として、日本軍の名誉を生かしてやること、日本民族の生きる道を与えてやることを考えるべき」と提案したが、トルーマンに「日本軍に軍事的名誉などというものは全くない」と返されていた。
・日本の運命が原子爆弾によって決定されたとするのは誤りである。日本の敗北は原爆投下以前に定まっていた。


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