エルキュール・ポアロのデビュー作である本作は、シリーズの幕開けにふさわしい一冊です。物語の情報量が多く、緻密で複雑な推理が展開されます。紳士的な振る舞いの裏に鋭い観察力と洞察力を秘めたポアロの活躍を、存分に楽しむことができるでしょう。
・本作の中で、「想像力はよき下僕だが、主人には不向き。もっとも単純な証明がいつでもたいてい当たっている」とポアロは語っている。そして、本作の事件では、その発言通り決定的すぎる証拠が出てくる。
・そしてポアロは潔白であることが論理的に、納得できるかたちで証明できないかぎり、すべての人間を疑うという思いで本事件に向き合っていることを説く。
本書を通じて私の推理、予測は完全に裏切られた。ポアロの推理を紐解くと、確かに伏線は散りばめられていたが、深堀が足りていなかった。また、国の法律についても知見が必要となってくる。自身の推理が外れた残念な気持ちもあるが、同時に紳士的に淡々と説明を行うポアロの冷静さと内容の深さに感嘆する。


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