本作品の最終章を飾る6作品目は南ヨーロッパ、ロンドンを巡る旅となっております。著者は旅の終わりに何を感じることになるのか。そして、無事に旅を終えることはできるのか。
・ローマにある「ピエタ」(ミケランジェロ作)に衝撃を受ける。20代半ばでこの世で一番美しい女性を造形。
・ローマにはどこに行っても観光客がいた。著者自身はまったく平凡な観光客のひとりとなった。
・ローマで出会った同じ歳(26歳)の「マルコ」は既に結婚して子供をもうけ、妻の代わりに子守まで引き受けている。そんな地に足のついた生活をしている様子に著者自身は焦燥感を覚えた。
・フィレンツェの街、歴史に名を留めている有名な寺院や宮殿の周辺より、何ということもない小さな裏通りが良かった。
・ヨーロッパでの日曜日は、商店という商店が閉まってしまう。(キリスト教の安息日)貧しい旅行者にとっては魔の一日になる。
・ポルトガルの果てでは「C」(CHA)の国に到達したことを知る。(「T」(TEA)の国から「C」の国へ)
・旅から故郷に帰るバスを「青春発墓場行」(From Youth to Death)とヒッピーが名付ける。
・終着点と考えていたロンドンでの電報で「ワレ到着セズ」
・旅の目的は「行く」ことだけでなく、「行く」過程で、何を「感じ」られたか
ようやく辿りついたロンドンで、著者は「ワレ到着セズ」と電報を入れる。これは著者自身の旅が終わっていないことを意味する。旅の終着点は何なのだろう。それは、どこに行きついたかの場所ではなく、旅人自身の心の中にあるのだろう。本作では様々な観光地と呼ばれる場所に赴く、しかし、その観光地での景観や歴史ではなく、その場所で出会った人々との物語が多く語られており、そのこと自体が旅の醍醐味ではないのだろうか。そして、旅の終着点が場所でないのであれば、旅はどこに行くのかではなく、その人自身の心の中にあると言える。つまり、定住している人でも外に出れば様々な人に出会ったり、様々な出来事に遭遇する。それを糧として、自身の生活に取り入れ人生を生き抜いていく。そんな人生こそが旅そのものでもあるといえよう。


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