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罪と罰 著:ドストエフスキー

虚栄心が強く、傲慢で自尊心の高いラスコーリニコフは、その一方で心の揺れや葛藤を抱える繊細な人物でもあります。ある日、彼は高利貸しで知られる強欲な老婆に「生きる価値がない」と判断し、殺害を決行します。さらに、偶然その場に居合わせた老婆の妹リザヴェータも、やむを得ず手にかけてしまいます。 本書では、そんな彼が罪の意識と向き合い、やがて自首に至るまでの過程が描かれています。

本書は、ラスコーリニコフが殺害を実行した後の苦悩や葛藤に大きく焦点を当てた物語である。彼は、人間を「凡人」と「非凡人」の二つに分ける思想を持ち、非凡人とは常識を超えた存在であり、時には法を破ることすら許容されるという独自の理論を信じていた。そして、自らもその“非凡人”であると確信していた。

そのような考えから、彼は自らの殺人行為を正当化し、平然と日常生活を送ろうとする。しかし次第に、平然ではいられない自分に気付き、自らが凡人であるという現実と向き合わざるを得なくなる。その内面の葛藤は、時に哀れさすら感じさせるものであった。

加えて、彼は世間知らずでもあった。人間という存在は、単純に善悪や凡・非凡といった二項対立で分類できるようなものではないという現実に、彼は気付いていなかったといえる。たとえ強欲な高利貸しであったとしても、あの老婆は妹のリザヴェータにとってかけがえのない存在だったかもしれないし、その金で救われた人間もいたかもしれない。さらに言えば、ラスコーリニコフ自身も、母や妹にとっては存在するだけで心の支えになっていたはずである。他者の立場に立って想像する力――それが、彼には欠けていたと思われる。

皮肉なことに、彼は最終的に収監された後、自ら「罪深い女」と呼んでいたソーニャによって救われることとなる。

決して「人類は皆平等」などという理想論を唱えたいわけではない。しかし、人間は他人の価値を完全に測れるほど優れた存在ではないのである。

本ページで紹介している書籍は以下で購入可能です。

罪と罰(上)
罪と罰(下)
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