MENU

深夜特急4 著:沢木耕太郎

当シリーズ4作目はシルクロード編となっており、インドからパキスタン、そしてアフガニスタン、イランへと続く旅を描いています。旅も中盤となってきていることもあり、著者はこの旅の意味や終わりについてより深く考えさせられることになります。

・パキスタンではバスが繰り広げるチキン・レースに巻き込まれることになる。そこでは、バスが乗用車と衝突をしても乗用車の心配をすることなく突き進んでいく様子を目の当たりにする。それは、パキスタンでは日常のようで、日本の道徳心に反するような文化が存在する有様を描く。
・パキスタンでの映画の帰りには、警官から危うくテロと間違われて連行されそうになる。これは、映画の上映途中に映画館を後にしたことから爆弾男と勘違いされたことが原因。地元民の機転により九死に一生を得るが、常に紛争が身近に存在した国ならではの出来事を経験する。
・おそらく10代の頃から働いてきたと思われる年下の青年がマネージャーを務める宿に宿泊することになる。この青年は著者のようにバックパッカーという存在に疑問を持っている。青年は若くして働くしか選択肢がなかったであろうことが想像できる。旅ができるということは贅沢なことなのかもしれない。
・日本人の旅人と出会い、交流、別れを経験する。その中の旅人が「冬は宿に帰っても誰もいないという寒さ」があるということを発言する場面がある。これは旅人が迎えなくてはならない冬を示す言葉であるといえる。
・著者は旅にとって大事なのは、名所でもなく、旧跡でもなく、その土地で出会う人である。そして、最も甘美な表出の仕方が親切という行為なのであると説く。
・世界で最も人口に膾炙している商品の中でもカバーしている国の数が多いものはコカコーラ、そして並んでセイコーがある。
・物乞いへの対応について、「あげない」ことに余計な理由を付ける必要はないことに気付く。自身はただのケチであるに過ぎなかったと思うことによって一気に自由を感じることができた。

旅をすることは、自分自身と向き合う効果があるようだ。誰も自分を知らないという環境、またその環境下で他者と会話をし、観察をすることによって自らのアイデンティティ、思考、習慣について深堀を可能にする。著者が最後に述べている「老いてもなお、旅という長いトンネルを抜け切れない自分の姿をモスクの中を吹き抜ける蒼味を帯びたペルシャの風の中に見たような気がした。」という表現は、著者がまだ自身との対話で、答えや結論を導き出せていない様子が窺える。旅は自身の追究とも言えるかもしれない。

本ページで紹介している書籍は以下で購入可能です。

深夜特急4ーシルクロードー
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントを残す

目次