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すばらしい医学

著者は、19世紀後半以前の治療法と比較すると、現在私たちが享受している技術は「奇跡」としか言いようがないと述べています。かつては全身麻酔もなく、「消毒」という概念すら存在しなかったことには驚かされます。本書を読むと、医学を学ぶ際に感じる二つの感情が浮き彫りになります。一つは「人体がいかによくできているか」という感嘆、そしてもう一つは「人体がいかに弱く脆いか」という落胆です。

我々が普段何気なく受けている医療は、歴史を振り返ると決して当たり前ではなかったことに気づかされます。また、今の当たり前もこれからの未来では当たり前ではないかもしれません。医療の進歩は凄まじく、それを実現してきた人類の偉大さを感じることができます。

1.あなたの体のひみつ
・自律神経という働きが人体には備わっており、その中でも「交感神経」は血圧を保ち、体の機能を維持している。しかし、自律神経の働きが弱まると血圧のコントロールが鈍って立ちくらみが起きやすい。
・近視や遠視があると、クリアな像が網膜に映らないため、見えたものを脳で認識する力が育たない。このまま視力が完成してしまうと、将来的に眼鏡をかけてもクリアな視界は得られない。幼いころに眼鏡を使って矯正し、はっきりした映像を脳に入力することで弱視を防ぐことが必要。
・せん妄という意識障害は一般的には知られていないが、入院患者の10~30%に起こる。睡眠と覚醒のはざまで意識が朦朧となり、辻褄の合わない発言や幻覚が現れることも多い。
・出血したときにもっとも重要なのは圧迫止血。激しい出血に見舞われたとき、応急処置は出血点の「圧迫」となる。
・鼻が「詰まっている」状態は、鼻の粘膜が腫れて分厚くなり、「通り道が狭くなっている」状態である。
・口の中は人体で「もっとも汚いエリア」の1つ。咬傷は傷の感染リスクが高い。
・「誤嚥性肺炎」は認知率50.7%と低いが、死因は第6位の病気。現象は食べ物や飲み物が空気の通り道(気道)に誤って入ってしまうこと。
・脂肪肝は怖い病気である。特に非アルコール性(NAFLD:ナッフルディー)は肝硬変や肝臓がんのリスクが高い。
・慢性腎臓病が近年増加している。腎臓の機能は失われると元に戻すことはできない。

2.画期的な薬、精巧な人体
・毒から生まれた薬は枚挙にいとまがない。人間に都合が良い時は薬、都合が悪い時は毒で呼び分けている。
・カビから細菌を殺す物質が発見され、それが「ペニシリン」誕生のきっかけとなった。しかし、安易な抗生物質の使用が薬剤耐性菌を生み出すことも分かった。
・1804年に「モルヒネ」が登場。強い鎮痛、鎮静作用を生む。総称で「オピオイド」と呼ばれる。医療用麻薬として使用することが多い。「ヘロイン」も大ヒットするが、強い依存性が明らかとなり製造中止となった。
・ノーベル賞で有名なノーベルは「ダイナマイト」を生み出す。ニトログリセリンの実用化に導く。ニトログリセリンは狭心症の薬に改良される。
・今から百年前は胃腸炎(コレラ)で死亡する人が多かった。点滴(静脈内への液体注入)が効果的であった。

3.驚くべき外科医たち
・体をメスで切り開いて病巣を摘出する手術が普及したのは19世紀以降。これは「消毒」と「麻酔」の2つの革命的な技術によるものが大きい。
・19世紀ごろまでは、病気は「体液の不均衡」によって生じる「四体液説」が広がっており、「瀉血」という血液を排出する治療が行われていた。(ジョージ・ワシントンも瀉血をしていた)
・過去には手足を切り落とす切断術においても手術のスピードが重視された。「傷病の重症度」による患者の選別(トリアージ)も行われるようになった。
・ナイチンゲールは医療現場に初めて「清潔さ」を導入した。また、自分が不在のときでも同じクオリティの業務が行われるよう情報を管理し、組織として機能を高めることの大切さを説いた。
・腹腔内は極めて厳密に「無菌」の空間である。ここに細菌が混入すると腹膜炎が起こり、人は生命の危機に瀕する。
・全身麻酔は「パーティードラッグ」として用いられたエーテルの蒸気が起源である。その後、より安全な麻酔薬が生れる。
・コカインはコカノキの有効成分から抽出された。過去、「コカ・コーラ」にはコカインが含まれていたが、強い依存性があるため、取り除かれることになった。
・かつての手術は当たり前のように素手で行われていた。そこで、グッド・イヤーがゴム製の手袋を発明した。

4.人体を脅かすもの
・一酸化炭素は無色無臭のため注意が必要。空気中の濃度が0.16%でも20分で吐き気やめまいが起こり、2時間で死亡する。
・たばこは約70種類の発がん性物質が含まれ、16種類のがんを引き起こす。喫煙者は肺がんに15~30倍かかりやすく寿命が10年短く、1本たばこを吸うごとに寿命が11分短くなる。
・狂犬病の致死率はほぼ100%。日本は世界でもまれにみる狂犬病洗浄地域である。海外の動物咬傷のリスクは知っておく必要がある。

本ページで紹介している書籍は以下で購入可能です。

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