本書は新しいホラージャンルを開拓した作品と言えるのではないでしょうか。これまでにも「家」にまつわるホラー作品というのは数多く存在していましたが、「間取り」に着目した著者の斬新な視点が光ります。無機質な間取り図から、人に聞くことができない真実を推理し、恐ろく邪悪な真実に迫っていく様子に引き込まれていきます。
・オカルト専門のフリーライターである筆者の元へ、中古物件を探していた知人から不可解な間取りについて相談がくる。その間取り図を大手建築事務所に勤める設計士である知人の栗原へ見せるところから物語が進行していく。
・栗原は間取り図の違和感から、住んでいた住人の恐ろしい生活を推理する。そして、その推理から真相を暴くため、筆者は恐ろしい真実に迫っていく。
序盤で描かれる栗原の推理から、背筋がゾクゾクするような怖さがじわじわと迫ってきます。さらに、無機質なはずの間取り図がその怖さを一層際立たせる演出となっています。家というプライベートな空間には、表面からは見えない住人たちの真実が隠されている――そのことに気づかされる瞬間が、この物語の醍醐味です。
本書では実際に間取り図が掲載されており、読者自身も物語の推理に参加できるようになっています。また、登場人物が限られているため非常に読みやすく、物語に引き込まれていきます。


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