本書は、企業分析を行うための手法やノウハウを余すところなく教えてくれる一冊です。一般の方にも馴染み深いオリエンタルランドやサンリオといった企業が例として挙げられており、読みやすさへの配慮が随所に感じられます。読み進めるうちに、分析で大切なのは「どのような情報を仕入れるか」ではなく、「誰に対しても公平に公開されている一次情報をどう活用するか」にあるという点を学ぶことができるでしょう。
過去に簿記を学んだ際、B/SやP/Lについては深く学びましたが、本書で扱われているC/S(キャッシュフロー計算書)についてはあまり触れる機会がありませんでした。本書では、「過去と利益を重視する視点」を会計視点、「未来とキャッシュフローを重視する視点」をファイナンス視点と呼び、双方の視点からテンポよくエッセンスを教えてくれます。また、要所に登場する筆者お手製の図解が非常に分かりやすく、理解を深める助けとなります。ボリュームのある一冊ですが、永久保存版として手元に置いておきたくなる本です。
1.「企業分析」における7つの定石
・定石1「企業の一次情報を取得する」
・定石2「決算書の裏にいるステークホルダーを意識する」
・定石3「企業のKPIは何かを把握する」
・定石4「決算書をグラフ化や図解してシンプルに表現して大局的に捉える」
・定石5「時系列や他社の観点から比較を行う」
・定石6「会計視点とファイナンス視点の両方を持つ」
・定石7「決算書の裏側に隠れているビジネスモデルを見つけ出す」
2.P/Lで企業の収益構造、B/Sで企業のビジネスモデルを把握する
・一次情報を見て「問い」を持つ
・P/Lの一番最後のステークホルダーは株主
・B/Sの純資産のステークホルダーは株主
3.キャッシュの使い途を把握できるキャッシュ・フロー計算書
・企業が倒産する理由はキャッシュがなくなった時
・「利益は意見、キャッシュは事実」
・営業CF、投資CF、財務CFでキャッシュの動きを捉える
4.時価総額とは何か
・企業のB/Sにおける純資産を時価で表現したもの(時価総額=株価×発行済み株式数)
5.PBR、PER、PSRとは
・P=Price
・PBR・・・株価総資産倍率(時価総額が純資産の何倍あるか?)
・PER・・・株価収益率 (時価総額が予想当期純利益の何倍あるか?)
・PSR・・・株価売上高倍率(時価総額が予想売上高の何倍あるか?)
6.ROICという指標
・投下資本(有利子負債+純資産)に対してどのくらいの利益を得られるかを見る
・税引後営業利益÷投下資本
7.ROEは株主が投資リターンを見るための指標
・ROE=Return on Equity(当期純利益÷自己資本)
・投下に対してどれだけのアウトプットがあるか
・伊藤レポートではROE8%以上が重要とされた
8.企業が生み出す本質的なキャッシュ・フローの源泉
・EBITDA・・・金利、税金、減価償却、無形固定資産の償却を控除する前の利益(営業利益+減価償却費(無形固定資産含む))
・フリーキャッシュ フロー・・・事業から生み出されたキャッシュを投資に回してもキャッシュを手元に残すことができる(営業CF+投資CF)
9.ESG投資
・Environment(環境)、Social(社会)、Governance(投資)の頭文字をとったもの
・企業が行うものではなく、あくまで機関投資家が主体的に行う



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