冒頭に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」との名言が印象に残るこの本は、人類は歴史の中で何度も同じ過ちを繰り返すが、個人として歴史の教訓を生かしていこうと述べています。
そして、その教訓を教養として身に付けるために必要な以下7つの視点について説明する構成となっています。
①文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
②ローマとの比較で見えてくる世界
③世界では同じことが「同時」に起こる
④なぜ人は大移動するのか
⑤宗教を抜きに歴史は語れない
⑥共和政から日本と西洋の違いが分かる
⑦すべての歴史は「現代史」である
本書の要旨となる各視点のポイントは以下。
①文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
人の生存にかかすことができない「水」があるため、その一か所に人口が集中する。日本は水資源が豊富であるが、世界では乾燥化が発生し、それに対応するために水のある場所で水活用システムが生まれて文明の発達がおきた。逆に日本は水資源に恵まれ過ぎていたため、水システム構築の必要がなく、人口の集中が起きなかった。
②ローマとの比較で見えてくる世界
ローマには文明の起承転結の過程がはっきり表れている。人類の経験がすべて詰まっているとも言える。また、戦を行った将軍に対し、敗戦でも立派に戦った結果であれば責めずに名誉挽回のチャンスを与えるなど、ギリシアと対照的に寛容な文化もあった。その寛容さと、ギリシアやエトルリアから学んだことをソフィスティケートする能力で成長したが、そのソフィスティケートする能力を追求しなくなるなどの傲慢さにより滅ぶことになってしまった。
③世界では同じことが「同時」に起こる
ローマ帝国、漢帝国が権力を握ることになった。「ザマの戦い」と「垓下の戦い」がほぼ同時に発生。また、「アルファベット」「一神教」「貨幣」もほぼ同時期に起こった。
④なぜ人は大移動するのか
気候変動(寒冷化、乾燥化)、信仰弾圧、奴隷売買、難民が主な要因。民族移動は戦争の火種になるケースが高い。これは異民族同士がぶつかった時、平和的な融和がほぼなかったことからもわかる。
⑤宗教を抜きに歴史は語れない
宗教はモラル、結束力、言葉の発展をもたらすが、対立を起こしてきた事実もある。ただし、対立はすべての信仰する人々がぶつかったわけではなく、一部の原理主義の人の考え方が要因になることも多い。
⑥共和政から日本と西洋の違いが分かる
共和政は「有意の人々」「見識ある人々」が合議制によって物事を進める政治を指す。現在の日本の政治形態(間接民主主義)も共和政の一つ。同じ共和政でもローマは民衆がお上に向かって「ものが言えた」、一方、日本ではお上に向かって悪口を言うと罰せられた。今も西洋ではローマ文化の影響が続いてると考えられる。
⑦すべての歴史は「現代史」である
実際の歴史は途切れれることなく今に繋がっている。難民問題やEUが行っているギリシアの援助に関しては歴史を知ることで分かる。


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