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アート脳 著:スーザン・マグサメン アイビー・ロス

本書では、アートが私たちの生活の質をどのように高め、より良いコミュニティを築く手助けをするのかを、科学的根拠をもとに説明しています。一般的にはアートは娯楽や現実逃避の手段と考えられがちですが、実際には身体的およびメンタルヘルスに関連する深刻な問題に対しても驚くべき効果を発揮する力があります。さらに、アートは学びのプロセスを支え、持続的な幸福感を得る手助けをすることもできます。例えば、たった20分間の落書きやハミングをするだけでも、心身の状態が改善されるのです。

アートに触れることが良いと漠然と感じることはあっても、具体的な効果はわからないし、所詮は趣味の範囲だろうと私も考えていました。おそらく、同じような考えを持っている方も多いのではないでしょうか。本書は、そのような抽象的な考え方や感覚を払拭し、研究結果を基に具体的な効果を示してくれます。さらに、その効果は誰にとっても生活する上で重要なものです。本書で紹介されているアートの内容については、特に専門的な知識は必要なく、アートが脳にどのような影響を与えるかという科学的な視点から読者を引きつけるものとなっています。

1.体と美の不思議でおもしろい関係
・嗅覚は、人類の進化において最古の感覚の一つである。嗅皮質は、脳の側頭葉という感情記憶を司る領域に位置している。
・私たちは自らの精神活動のわずか5%ほどしか意識していない。残りの経験は、身体的にも感情的にも、感覚的にも、無意識に行っている。
・脳はつねに神経のつながりを形成し、再構築し、回路を配線し直す能力がある。(神経可塑性)
・サイエンシー(顕著性)を得る主要な手段としてアートと美的経験がある。
・美の3大要素は、①感覚運動系を介して情報を取り入れる仕組み②脳の報酬系③意識づけが存在する。
・私たちが意識に考えることと、生物学的な感覚は必ずしも一致しない。(例:「オシャレ」と思った部屋が、本当に心地いいとは限らない。)

2.部屋の照明、周囲の音、匂いが最高の美的経験になる
・45分間アートの創作に取り組むだけで、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールの低下が見られた。(生理的な鎮静作用がある)また、時代の集団的感情に対する自己効力感や対処能力、感情をコントロールする力を高め、心理状態を改善する。
・感情とは、環境的刺激、内的欲求、衝動に対する反応の最初の表れであり、気分は体が経験していることに対する認識である。感情の状態は意識的に自覚されていないことも多い。
・振動する音叉を使う音響療法(サウンドセラピー)という手法を使い、ストレスの低減が可能。
・人々の欲求は日々進化する。つまり動くエネルギーと変化を意識すればこそ、自らコンディションをうまく整えることができる。
・色には呼吸や血圧、さらには体温まで変化させる力がある。
・私たちは木々や植物、水などの自然の要素に接すると、即座にアドレナリンの分泌量が減り、血圧と心拍数も低下する。自然のなかでわずか20分ほど過ごすことで、ストレスホルモンのコルチゾールが著しく低下する。
・イギリスやカナダ、アメリカでは、医師、心理学者、ソーシャルワーカーなどがストレスには歌のレッスン、不安には美術館やコンサートのチケット、燃え尽き症候群には自然のなかでの散策などを「社会的処方」と呼ばれる手法を使い、予防と介入を行っている。

3.自分を取り戻すために、描く、歌う、踊る、作る
・絵を描くことを取り入れたプログラムで早期介入を行ったところ、PTSDが80%以上減少した。
・世界中で精神疾患に苦しむ人々の75%以上が治療を受けずに過ごしている。もがいている時に不必要なのは、人間的であることに対する恥ずかしさ。

4.アートが寿命を延ばす嘘のような本当の話
・視覚、聴覚、体性感覚、味覚、嗅覚等により、私たちが出会うあらゆる刺激は、脳と体の細胞の構造や機能を変化させる。
・薬理学的な治療は1つか2つの経路から作用するだけだが、アートは何百もの機構を協調させて作用することができる。現在、アートは体を癒すために少なくとも以下の6つの目的で用いられている。
 - 予防薬
 - 日常的な健康問題の症状緩和
 - 病気、発達障害、外傷の治療や介入
 - 心理的サポート
 - 慢性的な問題とうまく共存するための手段
 - 人生の終盤における慰めや生きがいの提供
・アートや文化的な活動に取り組む人々は、年齢を重ねても慢性的な痛みが生じるリスクが低い。
・劇場や美術館を訪れるなど、数カ月ごとにアートに触れる人々は、そのような習慣がない人々と比べて早世するリスクが31%も低い。生活にアートを取り入れる機会が年に1、2回だとしても、死亡リスクは14%下がる。
・窓から自然が見える患者はそうでない患者よりも入院期間が短く、鎮痛剤の服用量も少なかった。

5.マンネリ気味の日常を変える6つの条件
・好奇心は持続的幸福の基礎となる要素。そして好奇心は訓練によって強化できる感情。
・積極的に畏怖の念を経験している人々は、自主規制をあまり求めず、不確かさに対する耐性が比較的高い。リスクに対する耐性も増す。
・仲間はずれとして、疎外された時に引き起こされる気持ちは、肉体的なケガをしたときと同じくらい強い痛みの反応をもたらす。

6.おわりに -未来のアート-
・アートはただの趣味ではない。アートは自分自身との対話であり、自分の心と体と精神との結びつき、健康とウェルネスを支える手段。

本ページで紹介している書籍は以下で購入可能です

アート脳
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